近年、若い女性の間で“落語”が再ブームになりつつあると言います。
とある落語家さんが、「寄席の客層が少し変わった。これまで、舞台に出て行ったときに女性から黄色い歓声をあびることはなかったので、驚いている」という旨の発言をしていたように、今は1人で寄席まで落語を見に行く若い女性も多いのだとか。
さて、そんな風に若い女性の人気を引きつつある落語には、一体どんな魅力があるのでしょうか?
新しい趣味を探しているおひとり様の女性に向け、落語についての情報をまとめてみたいと思います!
目次
そもそも落語とは?
まずは、「そもそも落語とは何ぞや?」というところを簡単に説明していきましょう。
落語は江戸時代に発祥し、現在まで引き継がれてきた古典芸能の1つで、”落ちる語り”と書いて落語、つまり最後に印象的な落ち(オチ)でしめる話芸のことを、落語と呼びます。
落語というと”面白い話をする”というイメージが強いかと思いますが、実はそれだけではなく、
- 滑稽噺 (面白い話)
- 人情噺 (ちょっとホロッとくる話)
- 怪談噺 (ゾッとする話)
- 廓噺 (遊郭を舞台にした話。戦時中は禁演された)
など様々な種類があり、落語家は、己の身と扇子と手ぬぐいだけで、お話の全てを表現する豊かな表現力を持っています。
江戸時代から長らく、庶民の娯楽として親しまれ続けた落語ですが、昭和に入ってから”漫才”という新しいお笑いが台頭したことにより、人気を奪われてしまいました。
そこから現在に至るまでは、”どちらかというとコアなお笑い”、あるいは”年配の方が楽しむお笑い”というイメージが強かったのですが、近年はそのイメージが変わり、若い女性にも受け入れられるようになったのです。
そこには一体、どんな理由があるのでしょうか? 以下で詳しくみていきましょう。
女性の落語ブームに火をつけたきっかけ『昭和元禄落語心中』
※Amazonよりスクリーンショット
個人的な見解ではありますが、若い女性の落語ブームに火をつけたきっかけは、『昭和元禄落語心中』という漫画作品ではないかと思われます。
『昭和元禄落語心中』は、講談社の漫画雑誌『ITAN(イタン)』で、2010年から2016年にかけて連載された、雲田はるこ氏による作品です。
『昭和元禄落語心中』は、その名の通り、落語に魅入られた人間たちの愛憎劇を緻密な描写で描ききり、「第21回手塚治虫文化賞新生賞」など様々な賞を受賞しました。
私も単行本を全巻買って読んでいるのですが、文字と絵だけなのに目の前まで迫りくるような落語の場面描写と、”動いている人間の刹那”をそのまま切り取って置いたような美しい絵柄に魅了され、手当たりしだいに人に勧めまくった記憶があります。
『昭和元禄落語心中』の虜になった女性ファンの数は非常に多く、この作品で初めて落語の魅力に触れた人たちが、”生で落語を見てみたい!”と寄席に訪れるようになったのだとか!
落語ならではの2つの魅力
落語の魅力の1つは、やはり落語家の豊かな表現力を楽しめることです。
先述しましたが、落語中に使われる小道具は扇子と手拭いのみ。ほとんど体1つで、お酒を飲んだり船を漕いだり、様々なシーンを表現されています。
- 何も食べていないはずなのにメチャクチャ美味しそう……
- 何も飲んでいないはずなのに酔っぱらってる……
など、笑うシーンであってもちょっと感嘆してしまいます!
また、たった1人で数人の演じ分けをするところも見物です。
さらに、同じネタでも落語家さんによって、まったく味の違うストーリーになることも落語ならではの楽しいポイントの1つです。
ファンの方は「○○のネタなら、○○がいいよね~」というこだわりがあったりするようです。
知らない人に知ってほしい!オススメ落語3選
ここでは、管理人が大好きな落語を3つ紹介したいと思います。
落語を聞きなれていない方でも分かりやすいお話なので、興味があればぜひ調べてみてください。
(ここではあえて、落語のオチは言いません……!)
- 定番人気落語「まんじゅうこわい」
- 息がつまるようなオチ「死神」
- 初めて聞いた時に泣いた「芝浜」
定番人気落語「まんじゅうこわい」
「まんじゅうこわい」は、”定番”といってもいい古典落語の”滑稽噺”の1つです。
名前だけなら聞いたことがある人も、多いのではないでしょうか?
数人の男たちが集まって、”自分の嫌いなもの”について話し始めるのですが、その中で1人「俺が饅頭が怖いんだ……」という男がいました。
現代的な言葉で言うと「あいつ普段からムカつくし、ちょっと嫌がらせをしてやろうぜ」ということで、寝ている”まんじゅうこわい男”の口に饅頭を詰め込みます。
さて、この嫌がらせの結末やいかに……!?
息がつまるようなオチ「死神」
いわゆる”怪談噺”の中でもとりわけ有名なのが「死神」というお話。
先述した漫画『昭和元禄落語心中』の中でも、メインとして取り扱われています。
とにかく金に困っている男が、ある死神から”人間の死期が近いかどうかを判断し、寿命でない死を追い払う力”を得ます。
その力を活用して男は医者になり、欲しい物をすべて手に入れるのですが、契約の相手は”死神”、果たしてそんなうまい話が続くのでしょうか……?
「死神」は私が学生時代、文化観賞会?か何かの行事で、生で観たことがあります。
「死神」が始まるまでは、『あ~、早く家に帰って遊びたい』と思っていたのに、「死神」の演目が始まってからは、もう話に完全に取り込まれてしまって、息をするのも忘れそうなほどでした。
死神の人柄の演じ方や話の落とし方は、落語家によって様々ですが、私は三遊亭圓生さんの「死神」が1番好きです。
初めて聞いた時に泣いた「芝浜」
「芝浜」は古典落語の中でも特に有名な”人情噺”の1つです。
酒好きでうだつの上がらないある男が、浜辺で大金の入った財布を拾います。
大喜びで家に帰ったものの、一晩明ければ財布がない。奥さんに確認したものの「そんなものはない、変な夢をみたんだろう!」と怒られてしまいました。
「大金の入った財布を拾って飲み明かす夢を見るほど、自分はダメなやつなんだな~……」と思った男は、心を入れ替えて酒を断ち、仕事にも精一杯取り組むようになります。
ここまででも十分いい話なのですが、最後にはもっと劇的なオチが待っています。
ちなみに「芝浜」を”初めて肉声で聞いた時に泣いた”というのは本当です。
先述している『昭和元禄落語心中』は、その人気の高さからアニメ化もされているのですが、その際に有名声優の山寺弘一さんが「芝浜」を熱演されており、あまりの良さに泣いてしまいました。
ここで取り上げている以外にも、落語には多種多様なネタがあります。
時代背景といいますか、当時の風習が何となく分かっていないと理解しにくいネタもあるので、「予備知識がないと不安!」という方は、書店で売られている解説付きの”ネタ集”を買ってみるのもオススメです。
ネタのさわりだけ分かっているだけでも、理解度が随分違いますよ!
※Amazonからスクリーンショット
管理人はこの文庫を読みました。結構分かりやすかったです!
大阪で生で落語を観るなら天満天神繁昌亭
大阪で落語を生で楽しむなら、天満天神繁昌亭(てんまてんじんはんじょうてい)へ行くことがオススメです。
天満天神繁昌亭は、ほぼ毎日朝から晩まで落語の公演をやっている、定席寄席です。
こちらは毎日やっている訳ではありませんが、仕事帰りの女性でもフラッと寄って楽しめる、乙夜公演も魅力的!
メインの昼席公演であれば、前売り2,500円・当日3,000円でチケットが入手できます。(※夜公演のチケット代は公演の内容によって変わります)
1回1,800円で観られる映画館よりは高いですが、本格落語を8~9席、”色物”と呼ばれる落語以外の芸も1~2席楽しめるので、とってもボリューミ―! 値段以上の価値はあります。
充実した時間を過ごせるのではないでしょうか?
天満天神繁昌亭へのアクセス
- 地下鉄谷町線・堺筋線「南森町駅」4‑B出口から徒歩3分
- JR東西線「大阪天満宮駅」3出口から徒歩3分
- 地下鉄堺筋線「扇町駅」4番出口から徒歩10分
- JR「天満駅」から徒歩15分
詳しくはコチラ!
1度ハマったら抜けだせない!?落語の世界をお試しあれ
以上、新しい趣味を探しているおひとり様の女性にお届けしたい、落語ブームについてのお話でした!
1人で落語を観に行っても十分楽しいですし、家族や友達と行ってももちろんOK!
また、大阪まで観光に来られる方は、試しに寄席まで行ってみてはいかがでしょう?いい思い出になりますよ!
ちなみにこの記事で取り上げているアニメの『昭和元禄落語心中』は、dTVなどの人気定額動画配信サービスにて、配信中です。
アニメ『昭和元禄落語心中』は控えめに言っても面白すぎるので、気になる方はぜひご覧になってみてくださいね。dTVは31日間無料で試せます!
―― お後がよろしいようで。 ――
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